布団

あの子が、私の布団で寝た。

 

いつもは私の布団に入ってくるなり「○○の匂いがする」なんて悪戯っぽく笑いながら言ってくる。

 

それなのに何故かするりと私の布団に入ってきて、何も言わずにすやすやと寝てしまった。

 

私は触れることが出来ず、ただ、鼓動をこれでもかというほど速くしている。

 

触れたら、壊れてしまうのではないだろうか

 

でも触れられたら、どんなに心地の良いことか

 

肩まで、髪まで、頬まで、睫毛まで、

 

唇まで

 

10cmにも満たない

 

あぁ、

 

 

 

気が付くと、私の隣には誰もいなかった。

 

朝日が、私の広げた腕の下に空いた場所を、ただただ照らしていた。