Today was a good day as well

世界は美しかった。

草木は生い茂り、鳥は高く飛び、人々は笑う。そんな世界に私は住んでいた。

 

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 外から唸るような車の音が聞こえる。この音はきっと叔父様の車だろう。キャペリンハットとアパートの鍵を手に取って、家の扉をガチャリと開けると案の定叔父様の車が停まっていた。

「こんにちは叔父様。ご機嫌はいかがかしら。」

 挨拶をして車に乗り込むと、エンジンがブルンと鳴り、道を進み始める。私は叔父様と他愛もない話をしながら、緊張する胸を撫で下ろした。

 私には、婚約者がいた。財閥の令嬢でありながら親元を離れ、アパートに一人暮らしをしている変わり者にも婚約者がいたのだ。もちろん父が用意した婚約者なのだが、とても気持ちの良い青年で、私は今やすっかり心惹かれている。父はきっと彼と私が結婚し、彼が家を継ぎ、私が家に戻るのを期待しているのだろう。今日で会うのは何回目になるだろうか。まだ結婚なんて現実味が無く、叔父様がこうしてわざわざ迎えに来てくださることにすら慣れていない。しかし、これもきっと神の思し召しなのだろうと、私は婚約者である彼の存在を受け入れ始めていた。

 住宅街を抜けて数十分、婚約者の邸宅に着くと叔父様は私を下ろし、用があると言って別の街の方へ消えていった。私は呼び鈴を鳴らし、中へ通されるのだった。